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[コメント] イン・ハー・シューズ(2005/米)

平易な文体に現実との邂逅を描いて繊細な演出であるが女性映画としてはあまりに地味でSO-SOなホームドラマ
junojuna

 姉妹であることの同類認識と性格がかけ離れていることのギャップという物語設定はありがちだが、演技が過多になるところギリギリのラインで抑制が利いており、人生の現実を見つめることの説教臭さが若干緩和される分助かっている作品である。しかしこの映画が物足りなく思えてしまうのは、主人公ふたりの人生に対する憧れや喜びというものが描かれない点にあり、ネガティブな状況提示のまま着地してしまうという低空飛行に終わってしまっているということだ。姉妹の心に秘めた理想の人生と現実のギャップ感が対比関係に強調されていればドラマとしてもっと実り豊かなものとなったであろう。姉のドレッサーにならぶシューズがそうした象徴にあったのだと思われるが、そのシューズの扱いには姉の凝縮された理想というものがたちあらわれず、鳴かず飛ばずの印象だ。文体に特徴がない分、それでも映画であればこそ納得できる文彩を求めたくなる。残念ながら凡百の域を超えない。

(評価:★3)

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