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[コメント] 狼の時刻(1968/スウェーデン)

もう何が何だかわからないの
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公の女の最後のセリフだが、それはこっちのセリフじゃ!と言いたい。

マルク・ジェルベとかいう映画研究家の音声解説を要約すると、

ドイツ表現主義に基づいて怪奇幻想映画として発達したジャンルの映画であり、 見る人に現実だと思い込ませるのではなく「これは虚構だ」という前提を突きつける。 現実らしく見せることが目的ではないデフォルメ(形式破壊の芸術)された現実。そこに創造の余地がある。

のだという。ここまで解説してもらってやっとわかったような気になった。実は全然わからないけど言葉に置き換えてくれると前よりずっと安心できるものだ。

この映画は夫の人格がだんだん崩壊していく様子を描いているみたいだけど、 性格付けが平板で感情の起伏というものがないから徐々に崩壊していく感じはいまいち伝わらなかったな。

ところで映画を見終えていろいろ考えているうちになぜか、冒頭の小船で島に渡る夫婦の姿がアルノルト・ベックリンの「死の島」という絵と重なった。 白い棺を乗せた小船で孤島を目指す様子を描いた幻想的な絵なのだが、まさにこの映画のイメージとぴったり。

(評価:★3)

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