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[コメント] 僕のニューヨークライフ(2003/米=仏=英=オランダ)

一期一会は面白い。掛け替えの無い出会いは至る所に存在することを改めて知った。糧になろうが、マイナスになろうが…だ。そして、日々の生活を「そんなもんだよ」と軽快に投げ掛けて締める。ウディ・アレンの絶妙なポジションも後押し。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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純朴なジェリーも小悪魔的なアマンダも、共にした生活は感化される事の連続だった。一目惚れが最初の感化だとすれば、「まさか喫煙者を好きになるとは…」や「これは運命的な出会いね」といった台詞がそれに当て嵌まる。そして、二人には別れの時がやってきた。ジェリーの主観が大半を占める作品だから、アマンダの感化が伝わり難い部分があることは否めない。しかし、彼女は新たなる恋人を見つけ、ジェリーの元を去ったのは事実だ。出会いや別れには恋愛の妙が存在するにしろ、価値観や人生観を語り合い、そして共有していた時間は大きな感化をもたらしたのだと思う。セックスレスとなり、ホテルでも行為に及べなかった経緯には、この「感化」が大きく影響している。ジェリーは、そんな彼女の想いを胸に、LA(彼にとっての夢の都となる場所!!)へ旅立ったはずだ。

ウディ・アレンが絶妙。やはり、彼の存在は彼の作品だということを終始知らしめる(笑)。今回アレンは脇役に徹したが、これは珍しいこと(前回の脇役は…ええっといつだったかな…てな感じ)。ドーベル(アレン)の存在はジェイソン・ビッグス扮するジェリーにリンクするのかもしれない。ジェリーに対してマシンガントークで捲くし立てるドーベルは、映画の域を超えてウディ・アレン本人が若き頃の自分に向かって訴えているかのようだ。考えてみれば、ジェリーがスクリーンに向かって話し掛けるシーンがいくつかあった。現実との垣根を無くし、鑑賞者も、そしてアレンもが中に入り込めるかのような作品なのだと考えることもできる。

コメディ要素もドラマな要素も散りばめられた面白い一本。特に、ドタバタした後にアマンダの母親が歌うシーンは、その切り替えが衝撃的すぎて、ただひたすら聴き入るしかなかった。そんなアレンの技が光る一本でもある。

(評価:★4)

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