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[コメント] THE 有頂天ホテル(2005/日)

たくさんの登場人物の設定と相関図をパズルのようの組み合わせて、「どうだ!」とばかりに前面に押し出しているが、肝心の設定や人間関係は一言で説明できる薄っぺらいもの。戯画的な演技では設定の薄さをカバーできていず、ドタバタコントを延々と見せられた気分。
agulii

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ホテルで起こるドタバタコメディ、給仕人だけが全てを知っている。そんな洒落た映画を作りたかったというのは伝わってきました。

こういう作劇に必要不可欠なのは、ホテルの客の一人一人を魅力的に描くことです。 この映画でも、登場人物一人一人に特徴的な設定が与えられています。

できる、その設定の表現は記号的で例えば、「性格:横暴」「職業:売れない歌手」「二人の関係:愛人関係」と、一言で補完できます。 画面上では「まぁ、そういう設定だったら、おおむねこのようなかんじでやればわかりやすいでしょう」という戯画的演技やエピソードを繰り広げられるのみ。 クリシェの連続を見せられても面白くないし、登場人物が多い分「この二人の関係を見せるために、こういうシーンを作らなきゃ」「この人が心変わりする話にしたいから、こういうシーンを作らなきゃ」という消化イベントをひたすらこなしているように思えます。 1シーンを見る度に「ここはこういう目的で作られたシーンなんだろう」とわかるので、興ざめするし、底の浅さを感じさせられました。 さりげなく伏線を張るとか、一見深い意味がないと思われるところに人間関係を描く重要な手がかりがある、というひねりも全くないし…。

コメディ要素もほとんど一発ギャグのようなものばかり。 テレビのバラエティのノリが苦手な私には、「ここで笑え!」と押し付けられている気分で、受け入れられませんでした。

テンポの悪さと、ホテルという空間の演出の悪さ(っていうか、ここにあんまり気を配ってないよね。最初と最後にホテル全体の外観映しとけばいいだろ、なノリ)も致命的だと思います。 舞台でやれば、テンポも変わっただろうし、空間の演出は舞台的表現でさくっとやれるし、戯画的な演出は派手で映えただろうし、そこそこ面白くなったと思いますけどね。

(評価:★2)

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