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[コメント] 影武者(1980/日)

影武者の目を通して見た戦国時代の政治を見事に描き切っていると言える
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







政治ってのは今も昔も変わらんが今は武器が格段にレベルアップしたせいでさて戦争だ、となった時点で制圧する側とゲリラ活動する側に最初から立場が決まっているわけだ。例えば6:4の軍事力同士の戦いは武器が武器だけに両者が壊滅状態に追い込まれるわけで。

そうなるとむしろ100:1程度の軍事力差があったほうが100の方の軍隊が相手を見つけられなくて苦戦するわけです。どちらにしても戦争は回避するのがお得なのが現代の政治だと言える(もしくは一気に全土制圧)。

ところが戦国時代は違う。どこも戦力的には(現代戦争に比べて)大差がない。武器も強力ではないので痛み分け程度の戦が頻繁に行われる事になる。こういった時代の政治は「何を考えているのか相手に読ませないようにする」というのが重要になってくる。政策が読めれば敵方はそれに勝る対策を練ってくるのだから当然だ。話がずれるが実社会でもこれは重要な要素で相手の出方が読めない時は黙って聞く側に回るのも有効ではある。

戦国時代、戦略が不明瞭な武将が天才肌の武将より分が良かったのはそういった理由が多分にあるだろう。戦国時代を扱った作品はどうしても軍事的戦略に焦点が置かれやすい。この映画は政策あっての軍事力(それも可能な限り使用せず)という点が他の武将と信玄の異なる点であった事を伝える。

戦国時代とは言え軍事力の優劣だけで情勢が変化したわけではない。あくまでも主役は政治力(そしてこの時代は情報戦)であった、という事だろう。現代にも通じる話なのだ。

(評価:★4)

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