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[コメント] 歓びを歌にのせて(2004/スウェーデン)

ありふれることへの恐怖が、畏敬へと変わる瞬間。それを奇跡としては描いてないその謙虚さに好感。
まー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ありふれること。愛し、愛されること。

その幸せに制限をかけられる、いわばマエストロの心臓病はある種のリミットである。

そして教会の権威や禁欲という足かせもまたそれに対比される。

市井のひとたちのささやかさ。

卑しくもあり、卑怯でもあるが、とるに足りないキャラクタの、その積み重ねから何を掬い取るのか。

ラストシーンの理屈では説明の付かない、一見奇跡と呼んでしまいたいものも、

マエストロの死と交換されることで、恐怖と、畏敬と、恍惚とをうまく表現している。

あの黄金のライ麦畑のラストカットはその昇華の瞬間。

美しかった。

(評価:★4)

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