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[コメント] 白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々(2005/独)

白バラの政治的な、というか思想的性格をとくにはっきりさせないで、作者が描き出そうとしたのは、つまり、誰もが言いたいことも言えず、戦争協力者を装わなければならなかったような、独裁政権下で、磐石に見えた戦時体制はすでに崩壊の危機にあったということだと思う。
kazby

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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同じ時期の日本でもそうであったように、ドイツにおいても、敗戦が避けられない事を悟った、特にブルジョワ階級は、すでにヒトラーなき後の、戦後の社会を準備しはじめていた。ゾフィーたちを罵倒しただけのクソ人民法廷において、傍聴者たちが見せた、被告へのシンパシー、同時に戦後をどう生きるか、敗戦後の自分たちは一体どうなるのだろうという不安にまみれていたわけだ。 過去を隠蔽しなければ生き延びることの出来なかった、もと共産党員という判事が異常なテンションで青筋をたてて怒鳴り散らす姿は、ヒトラーの姿とかさなって、哀しげですらあった。

ゾフィー、あんたを強くさせたのは、神様なんかじゃない。「お前は正しい」と、愛する子どもたちをとことん支える両親の信頼と励ましだった事を、60年もたって、また戦争の足音をきいているこの日本の田舎で、あたしはかみしめているよ。

(評価:★4)

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