[コメント] クラッシュ(2005/米=独)
群像劇における演出と構成
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
やはり警察官が黒人女性を救出するシーンに心動かされた。ただそれは、その前のいざこざにかかわらず警察官が身を挺したからではなく、生命を懸けて人が人を死の渕から救い出す行為そのものが持つ迫力にうたれたからだ。
他にも一つ一つのシーンには迫力が備わっていて、とても重厚な演出だったと思う。しかし、本作のウリの一つであった各シーン相互のつながりが善悪の転換など必要以上に作為的であり、全体を通すとあまりにも人工的で一つ一つのシーンが持っていた鋭さが削がれたように思える。
本作よりも、全体を通して説明のできない大きな何かが覆っていた『マグノリア』のほうに高い芸術性を感じる。(ただ『マグノリア』の演出は、虚栄と寂寥の一辺倒で単調極まりなかった。群像劇において、個々のシーンの演出と作品全体構成の両方で芸術性を獲得するのは難しい作業なのだろう。)(★3.5)
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。