[コメント] カウボーイ(1958/米)
デルマー・デイヴィスの西部劇はどれも水準以上ではあるが、突き抜けた面白さに欠ける、という感覚を持っている。これもそうだ。
シカゴのホテルのフロント係だったジャック・レモンが、牧童の仲間入りをし、グレン・フォードに鍛えられて成長する、といった梗概であるにも関わらず、決定的に牧童生活を描いた部分に見せ場がないのだ。牧場においても、キャトル・ドライブにおいてもだ。スタンピード(牛の暴走)からインディアンとの銃撃に話を運ぶ展開も極めて淡泊だし、ラスト近くの走る列車のシーンで、車両の屋根伝いに移動するフォード達を仰角で撮ったカットがあるのだが、これが、全然、列車が走っているように見えないのはどうしたことだろう。
ただし、良い部分を挙げておくと、撮影、それも夜間撮影はとても良く、本作でも、どの夜間シーンも屋内スタジオではなく、屋外で撮られているように見える。それは夜の暗さ、黒い夜の造型に秀でているからだ。他にも、レモンが恋人アンナ・カシュフィと待ち合わせをする教会のロングショット、その夕景の中のシルエットが美しい。
#その他の配役等を備忘で記す。
・ホテルのフロント係として、最初と最後に出てくるのは、ヴォーン・テイラー。
・カウボーイのメンバはけっこう豪華。元マーシャルで曰くありげなブライアン・ドンレヴィ。前半でガラガラ蛇に噛まれるのは、ストローザ・マーチン。あと、やさ男のディック・ヨーク(「奥さまは魔女」の初代ダーリン)と、ヨークと喧嘩するリチャード・ジャッケル。
・劇伴で『駅馬車』のテーマ「寂しい草原に埋めてくれるな」を崩したような音楽が度々流れる。ちょっと気持ち悪い変奏。
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