[コメント] 力道山(2004/韓国=日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
私は残念ながらプロレスのファンでもないし、リアルタイムで力道山の事も知らない。
なので、あくまでも、この「映画」の中のフィクションとしての力道山の事しか語れない。(つまらない)
印象に残ったのは、勝負師としての彼が、崩れていった過程だった。
人は人を傷つけてはいけない。なぜなら、相手を傷つけた何倍かの力で、のちのち自分が傷つけられもするからだ。
「勝つ」事は別に構わない。ほとんどのスポーツマンはそうだ。けれど、彼の勝負は、相手を痛めつける「殺し合い」だった。(あくまでも映画の中では)
それはかつて、自分自身が、祖国からも、相撲業界からも、疎まれ、弾かれ、痛めつけられて、どこにも居場所がなかった事に対する復讐だったのかもしれない。
最後に見つけた唯一の居場所が、リングの上で人を痛めつける事だったというのは泥沼の悲劇だ。唯一の居場所に、固執すればするほど、彼自身がズタズタになって行く。
部下の子供の誕生日を言い当て、「俺にわからない事はないんだ」と言う所まで「到達」してしまった彼ならば、余計にその苦しみは、相当のものだったろう。
奥さんとのシーンは、一つ一つが切なくて、涙涙でした。「きっとうまく行くって、言ってくれ」「もう言いません、そんな嘘は」なんて、いいなあ。
涙といえば、「力道山は泣きません、ただ、涙が流れているだけです」と言う台詞がすごく好き。監督は、日本語でこの脚本を書いたのだろうか?誰かが翻訳したのだろうか?言葉の使い方がとてもいいと思った。邦画よりも繊細だと思う。
ただ、どこか、「見えないところ」に、巧妙に、闇というか、悪意というか、そういう物が隠されている臭いのする作品だった。最後に残ったその自分の勘は、大切にしたい、と思っている。
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