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[コメント] 東京の合唱(1931/日)

不景気な時代を背景にした小津のサラリーマンものの系譜は『大学は出たけれど』等以前からあるのだが、演出面においては本作あたりから小津が真価を発揮したと云えるだろう。主人公を演じる岡田時彦は軽妙かつ哀感漂う演技でこの時期小津のお気に入りだったことがようく理解できる。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 また八雲恵美子が清楚で聡明な妻役。女の方が男よりもよっぽど聡明、という点が小津らしい。この二人の子供の役で子役時代の高峰秀子が歯の抜けた少女を演じている。高峰秀子の病気をポイントにして物語を展開させるプロット構成もまた小津らしさだ。

 冒頭、体育の教練シーンで登場する斎藤達雄扮するヒゲの先生はまるでグルーチョのようだ。小津は『ココナッツ』等を見ていたのだろうか。

(評価:★4)

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