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[コメント] 県庁の星(2005/日)

カメラと俳優の相性が抜群じゃないですか。
BRAVO30000W!

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







10年近く前の作品を今頃(2014年3月)観て今更感はあるのだけど、予想以上に面白かった。というか原作を読みたくなった時点で、まんまとハマってるわけだけど。

確かに全体的に何もかもベタである。原作の設定を変えてまでベタにしている。言い方を変えれば「ステレオタイプ」なんだけど、そんな言い方よりも「ベタ」な感じが似合っている。

2005年当時ですら、この物語の展開に斬新さはなかったと思う。まあ、20世紀だったらラストも変わってたろうけど(織田裕二の提案が通ってただろうけど)、それでも「えええー!」ってほどじゃない。だから言い方は悪いけど、良くも悪くも手堅く無難に作って、あとは俳優の人気で客を呼びましょう的なところが(この映画に始まった話ではないけど)あったんでしょう。別にそれはどうでもいいんです。

何より感心(というと何か上から目線的だけど)したのは、画面中に人物が振り返った時の表情やらアングルやらシルエットやら構図やらが絶妙だったこと。普通、移動している人物をカメラが追って、なおかつそれまで背中しか見えなかったのが、くるっと振り返ってとてもいいアングルで画面の枠の中のバランスのいいところに落ち着かせるっているのは、カメラマンの手腕だけでなく、自分がどう映っているのかを把握している俳優の力量も問われるわけで。

この作品で「あー、だから織田裕二柴咲コウは重宝がられるのだな」と再認識した次第である。彼らはただ顔がいいとか声がいいとか言うだけではない。カメラマンが撮りたくなる被写体であり、キッチリ枠の中の意図したポジションにおさまってくれる(テイク数は予算があれば多くできるだろうけど)能力が高いから、長いこと使われてるんだなと。

ベタな作品であればあるほど、その「カッチリ決まった」感は重要で、俳優とカメラの相性が悪いと、動きの少ないバストショットを多用したり、編集のカット割でごまかしたりしなければならなくなる。当然、作品に躍動感もなくなってぱっとしなくなる。

原作が読みたくなったというのは、あまりにもベタな流れで、その割に自治体側と民間側の面白い部分を使ってるので、原作はひょっとしたらもっとリアルに面白く描かれているのかな、という興味がわいたからである。それだけの話。

(評価:★4)

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