[コメント] イノセント・ボイス 12歳の戦場(2004/メキシコ)
戦争を知らない世代・平和な国日本であたりまえのように生きている私。政治や戦史については多少の知識があるつもりだった・・・その「多少の知識」が見事に粉砕された。
毎日のように夕飯の時間に「近所で戦争」が起き、台所に銃弾が飛び込んでくるという「ブラックジョーク」。
私が知っていたのは、紙の上での兵器スペック、映像の中での戦史。どれもリアリティはない。随分たくさんの「戦争映画」を鑑賞した経験も加えて、知った気になっていた。悲惨さも勇猛さも、理解している。否憧れる気持ちがあった事も認めよう。
そんなすべての知識が、アノ夕飯のシーンで粉砕された。私は戦場へなど行った事がない。ジャングルやら弾痕が生々しい破壊された街なんか実際には行った事がない。だが、家庭の楽しい食卓は知っている。私の毎日のそして最大の楽しみが家族で囲む夕食だ。
それがどうだ。アノ食卓の映像はいったい何なんだ。異常な光景だった。鑑賞中もそして鑑賞後もアノ光景が、私の自宅の居間に置き換えられて繰り返しリピートされ続けた。
私は泣き叫びたくなった。
妻が作った手料理は皿が割れ飛び散り、子供たちの玩具が銃弾に引き裂かれる。きっと子供たちはテーブルの下に隠れて泣き喚くだろう。妻はマットレスの代わりに身を挺して子供たちを銃弾から守ってくれるだろう。私は彼女らを守れるだろうか?
私は声を大にして言いたい。自宅の居間が戦場になる様を想像して欲しい。大事なモノが無造作に壊され、大事な家族があっけなく流れ弾に引き裂かれていく様を・・・
私はこれまでリアリティの無い「戦争擬似体験」をしてきたのだ。だが、本作のアノ食卓を見せつけられて、今初めて本当の実生活に想像し得る擬似体験をさせられた気がする。
「なんて戦争は怖いんだ」と、この歳になって初めて思いしらされた。恥ずかしい。本当に恥ずかしかった・・・・そして本当に怖かった。
映画を数多く鑑賞してくると、どうしても知り合いに薦めたい作品ができる。私はどうしてもアノ夕飯のシーンをひとりでも多くの友人に紹介したいのだ。映画を語るなら、否、戦争のウンチクを語るなら、今後どうしてもアノシーンが必要だと思うのだ。
ちょっと熱くなりましたが、軽く人生観まで揺るがせられそうな、そんな貴重な2時間でした。私には。
内にこもるだけが映画ヲタじゃぁない。映画ヲタだって何か出来るはず。映画ヲタだって外に何かを発信出来る。
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