[コメント] 大いなる別れ(1947/米)
全体的な出来で云えば及第点の犯罪映画、といったところか。ファム・ファタールとしてのリザベス・スコットは、決して箸にも棒にも掛からぬという訳ではないのだが、そのルックスからどうしてもこれがバコールだったらと思ってしまう。ただ、画面の見どころは結構ある。
まず、冒頭近くでの電話のブースの見せ方にはハッとする。カメラもブースの中に入っており、ハンフリー・ボガートの横顔越しに、窓からイライラして順番を待つ人を映す仰角気味のカットだ。この後、印象的な電話のシーンがかなりあり、本作が電話の映画であることをこの冒頭で宣言する。また、ホテルの窓から見える街の夜景だとか、自動車の窓の後方のスクリーン・プロセス合成の風景だとかも、かなりよく作られており、スタフの技術力、或いはジョン・クロムウェルの統率力を感じさせる。しかし、もっとも驚いたのは、ボガートが後ろから殴られ気絶するカットに続いて、落下傘部隊が飛行機で飛び降りるイメージが挿入される部分だ。パラシュートが開き、落ちていく。なかなか秀逸な処理だと思う。そしてこの落下傘の演出はもう一度繰り返されることになるのだが、これもちょっと突出したイメージ処理なのだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。