映画版では、ぞっとするようなマークの孤独をはじめとして、物語のダークな面をあっさり流し過ぎていると思うが、映像はウィルソン・ジャーマイン・ヘレディアやイディナ・メンゼルの伝説的なライヴ・パフォーマンスを見事に捉えている。

舞台のキャストでなかったロザリオ・ドーソンの健闘も光る。プッチーニ版『ラ・ボエーム』に涙した人なら、最後に彼女を救ってしまうジョナサン・ラーソンの気持ちが痛いほど分かるだろう。

もう一人の映画版新キャストのトレイシー・トムズの演技はやや落ちるが、突き抜けた声が素晴らしい。