[コメント] カーズ(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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◆あまり誰も触れてないようなんで、クルマ好きの視点でもって感想を述べてみようと思う。
◆ピクサーブランドのCGアニメゆえ、もはやあえてビジュアルに関して触れることもないとは思うのだが、やはり触れずにはおられない。主人公マックイーンのテッカテカにワックスの効いたボディに映りこむ風景は、愛車を洗車した後の輝きにホレボレした覚えのある者なら思わず瞠目するだろう。さらに物語が進むにつれて埃をかぶり、薄汚れていく様をCGで見事に描写している。こんなことセルアニメではまず不可能で、CGならではだろう。つか、なんぼCGつったってそこまでやろうなんてフツーは思わないわな。一方で同時に、古きよきアメリカをノスタルジックかつセンチメンタルに描くストーリーにリンクして、中部アメリカのダイナミックも美しいパノラマをも描写する。描く対象を”美しい”と思う心を伝えたい意思があるのなら、技法にこだわる必要はないと思う。たとえ写真であろうが油絵だろうが、CGであろうが。ただし、技術はそれなりに磨かれてなきゃならんがね。
◆冒頭とクライマックスにはオーバルサーキットでのバトルが用意されている。これは実際のレース中継に使われるアングルやカット割りを巧みに取り入れ、臨場感たっぷりだ。各クルマたちの挙動もいささかオーバーとはいえ、忠実に再現されている。ブレーキをかけるとフロントが沈み込んだり、荷重移動のときのサスの動きなんかも笑えるほどリアリティある。このレースシーンのみならず、中盤の擬人化されたクルマたちによる所作さえも、実際のクルマの挙動っぽくてまた笑えた。
◆話のモチーフといい、展開といい極めてドメスティックな内容であったが、別にそれはそれでいいと思う。なぜならハリウッド映画だということを承知の上で我々は観るんだから。ただちょっと気になったのは、なにかはっちゃけ切れてないジョン・ラセッター監督だ。トイ・ストーリー2までけっこうアブないネタもあったような気がするし、ちゃんと人の持つ闇の部分まで描いていたように思う。それに良し悪し別にして、オタク的要素が希薄だ。ワタシ的にはブラッド・バードがメガホンとったピクサー前作『Mr.インクレディブル』のほうを強く推すのである。
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