[コメント] ローズ・イン・タイドランド(2005/カナダ=英)
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恐らく女性なら共感してもらえると思うんですが、小さい頃は母親のマニキュアや口紅をこっそりつけてみたり、指輪やイヤリングなんかをごそごそ触ったりしてよく怒られたものです。母親がお風呂に入ってる隙を狙って脱衣カゴの中のブラを着けてみたりもしてましたよ、私。それから小さい頃って自分でも思ってない事が突如口をついて出てきて、しかもそれが止まらなくなったりしてました。今思えば、完全妄想の世界に飛んでたんだと思います。「ごっこ」遊びなんていう子供独特のお遊びだって、完全飛んじゃってないと出来ません。そのごっこ遊びでよく使っていたバービーなんかも、髪を切ってぐちゃくちゃになったり、ドライヤーあてちゃってナイロンの毛がチリチリになっちゃったり、曲がりもしない方向に手足を曲げてみたり、本当残酷な事を平気でやってのけてましたよ。本来子供(特に少女かな?)なんてものはぶっ飛んでるものなんです。現実と空想の区別もつかないほどに。
だからローズを見ていても何も違和感は感じませんでした。むしろ私は彼女がとても健全な少女に思えました。そんな飛びっぷりをこうもナチュラルに映像として残したギリアムはやっぱスゲェなと思いましたけど。
ただ、子供が最も恐れるものって「死」だと思うんです。眠ろうとしている時に突然「死」が頭をよぎるともう眠れなくなるくらい怖くなって、涙が止まらなくなって、結局泣き疲れて寝るなんてパターンはよくありました。子供にとっての絶対的恐怖は「死」だと思うのです。
ギリアムがどういう意図でこの映画を撮ったのかは分かりませんが、この少女からは「狂気」というものが全く感じられず、私は逆に非常に健全な印象を受けたので、父親の死を受け入れない姿勢だけがどうしても薄気味悪く、違和感を覚えました。何もかも狂ってると思えるような少女であれば、死に対して不感症になっていてもそれはそれで受け入れられたと思うんですけど。
ただ、ラストでごくごく普通の人(のように私は見えた)が出てきた時、その時だけはローズの表情に狂気の色が見えたんです。ラストでちょっとやられたと思ってしまったのが悔しい。
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08.03.11 記
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