[コメント] シェルブールの雨傘(1964/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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全編が歌の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、ここまで心に残る傑作だったとは!カラフルな傘が行き来する雨のシェルブールの街並みを上から捉えたオープニングから素敵な雰囲気が出ているし、何度も流れるテーマ曲はその曲だけで心を揺さぶる。
3部構成のこの映画はそれぞれで違った見方が出来て、90分の上映時間があっという間だ。1部は音楽も助けて、男女2人の恋愛でロマンティックな気持ちに浸り、その気持ちのまま悲しい別れへと進む。そのロマンティック気分は忘れたくないからか、別れの際では去ってく列車を見ながら異様に寂しさを感じてしまう。2部では恋人不在の様子から別の男との結婚で悩む苦悩を描く。自分の希望とは反して恋人不在の間に結婚してパリへと消える2部のラストは残念な気持ちでいっぱいになった。3部は兵役から帰還した男が中心の展開。愛した女が別の男と消えたことで、全てが空回りする様子が虚しく、そこから身近な女性と結婚という悲しいストーリーが痛い。そして、かつての恋人同士がガソリンスタンドで偶然にも再会するラストシーンは人生の複雑さを物語る。愛し合うもの同士が一緒になることが出来ない人生の不条理。かつての恋人同士がかつてとは違う"間"を見せる様子がなんとも悲しい。
凝ったストーリーではないことはわかっている。でも、音楽や洒落た雰囲気も助けて、ものすごく印象的で心に残る。そして、自分は若いころのカトリーヌ・ドヌーヴの美しさには驚きました。(笑)
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