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[コメント] ゆれる(2006/日)

ラストは観客の想像に全てを委ねた懐の深い映画なのか。否、製作放棄だな(笑)。しかし、主役の演技に力があること、観る者によって解釈がこうも異なる映画も珍しいということ、この2点においてこの点数。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







兄の無実を心から信じていなかったことを見透かされていた、と感じたこと。

兄が昔から慕っていた人をつまみ食い程度の軽い気持ちで寝取ったこと(からくる罪悪感を)兄に見透かされていた、と感じたこと。

この2点が弟が面会室でキレた原因のように思えた。

結果、それが勘違いだったと気付くまでに7年も掛かってしまったのだろう。

これからの兄弟再生の過程を一切省いたラストカットは兄の笑み。

これに委ねた製作者の意図は余りにも卑怯で狡猾なうえ、上手い。

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いろんな意味の罪悪感からくる兄の弁護を始めた弟の動機の伏線は多い。

女が落下した後、弟は既に兄に対して「上から目線」で物事を語っているように見える。

兄と親しげに接している女に軽い嫉妬を覚え軽い気持ちで昨夜寝た女が、今日死んだ。そのことを思い出し思わず嘔吐する弟。兄から女を奪った罪悪感を感じた、と見るのは穿った観賞か。

検察側からの司法解剖結果と鑑定の結果、別の男の精液が室内に残っていた、と発言があった際の弟の表情は、「知られたくないことを兄に知られてしまったのでは・・・」と焦燥の念が見え隠れしている。兄がどこまで察したのか、不安になって面会室に足を運ぶ弟。

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飲みに行ったこともない女のことを「酒癖が悪い」と言う兄。

面会に来た弟に対して「お前は昔から誰も何も最初から信じていない」と悪態をつく兄。

全ては兄のプライドがそうさせたハッタリだったのかもしれない。

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女姉妹に挟まれて育った(男兄弟がいない)僕にとっては、飽くまで想像の域を超えないけどね。

ちなみに『涙そうそう』と同日に観賞。いろんな兄弟がいるね(笑)。

(評価:★5)

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