クラシックの指揮者は晩年になるほど（肉体的な衰えというのもあるが）スローテンポな指揮をする傾向にあるが、この映画の長回しにおけるスローテンポな演出を見るにつけ、黒木監督においても同じことが言えるかもしれないと感じた。

また、成瀬巳喜男は高峰秀子に「白一色の幕を背にして高峰秀子が一人芝居をする」という奇抜な作品の構想を語ったというが、黒木監督もムダを削ぎ落としたシンプルな映画を撮りたくなるのだろうか。ムダな会話と思える部分もあるが、人間の生活というのはムダの積み重ねなんだよということか。ムダの集積でできたシンプルな映画。なんか矛盾した表現だな。自分でも何が言いたいのかよくわからなくなってきた。

でも老けメイクが何かのコントみたいでイマイチだったな。