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[コメント] グエムル 漢江の怪物(2006/韓国)

部分部分を見ればよいところもあるが、怪獣、家族ドラマ、ギャグ、社会風刺がバラバラに散りばめられているだけで、まとまりがない。B級魂炸裂映画として楽しむこともできなかった。
空イグアナ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







頭を空っぽにして楽しむ怪獣映画なら『ザ・グリード』という傑作があるし、馬鹿馬鹿しさなら○○○○(ネタバレ?なので伏せておく)を武器に戦う『パラサイト』の方が素晴らしかった。あらゆる要素のごった煮したアンバランスさが魅力だというなら『キル・ビル』が上だ。『サイン』という独特の雰囲気を持った映画もある。

グエムル』はパワーが今ひとつ足りないのである。

例えば、主人公を眠らせるための注射が効かない、というところは、主人公に超人的な力を感じた。これが、かつて畑荒らしをして農薬のかかった野菜を食べたからであり、(あるいはグエムルと接触してウィルスにおかされたからというでもよい)、その後、主人公は超人ハルクみたいになってグエムルを素手でぶっ倒してくれれば燃えるのである。そして馬鹿馬鹿しさに拍手喝采なのである。ところがそんな展開ではなくて、薬が効かなかった合理的な説明も語られず、ということは何だ、あそこで表現したかったのは、娘への愛の強さというベタなものかよ、となってしまうのである。

完成したクライマックスもなかなかかっこいい。炎に包まれたグエムルをさらに串刺し!……なんだけど、どうせなら、そのままカメラがパンすると、米軍のバーベキューが残っており、串焼きになった魚とグエムルが並んで映る、というのでもよかったのではないか。全編にギャグを散りばめるなら、怪獣を最期という究極の見せ場だって、これくらいやってほしいものである。

冒頭で、川に何か怪物がいる……という暗示を、自殺をしようとする社長に語らせるのは、何ともブラックだけれど、やっぱり物足りなかったな。どうせなら怪物に怯えて、こんな川には飛び込めん、と自殺を思いとどまったところをパクリと食われりゃ、もっとブラックだったのだけど。

(評価:★3)

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