[コメント] プラダを着た悪魔(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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もっともっとコテコテなラブコメディーかと思っていた。映画のトーンとしてはそういったいい意味で言うと「親しみやすい」ラブコメ調なのだが、若いOLが働く上で何を感じ、何を目指していくのかなど、誰もが悩む部分をドラマとしてしっかり拾っている。観終わったあとに、ちょっとした余韻が残り、ポジティブな気持ちを抱えることができる映画に仕上がっていた。そういった意味で、想像以上にいい映画だったように思える。
映画がドラマとしても引き締まったのは、やはりメリル・ストリープの存在が大きい。タイトルからもわかるイヤな上司を貫禄たっぷりに演じている中で、夫との離婚に悩む弱い一面を一瞬だけ見せることで、キャラクターに深みを持たせることに成功した。その涙を見せるパリのホテルでのシーン、些細な演技で一気に持っていくところはさすが名女優だ。
また、ファッションが重要なファクターとなるこの作品、アン・ハサウェイの服装の変化が物語の上でも大きな意味を持つ。ダサい服装から、ファッション誌で働く女らしい服装へと衣替えをし、女性としての魅力も輝くようになる。最終的には、煌びやかな自分を捨てて、今までどおりの自分として次の一歩を踏み出す。
しかし、ここで気になったのが、ラストシーンでの彼女の服装。「ランウェイで多くを学んだ」と言っているのであれば、もう少し服装に気を遣う部分も残してほしかった。ファッションにおいて一度身につけたセンスは、そんなにあっさり変えられないはず。もちろん、セレブ服を着続ける必要はないが、高価でなくてもある程度センスの良い服を着るようになってほしかった。ファッションって、現代社会ではなんだかんだ大きな要素になっているのだから。
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