[コメント] プラダを着た悪魔(2006/米)
ビターなテーマもスウィートな演出の施しようで物足りなくSO-SO
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
地位・名誉・富をめぐる巨大な立身社会。自意識過剰なアイデンティティの危機を物語るコンセプトはなかなか高度な設定である。しかし、誰にも身につまされるビターな切り口で映画は展開するが、いかんせん主人公であるアン・ハサウェイがその宿命的な状況に苛まれる葛藤の描写が甘くどこまでも都合の良い人物像としか表出されなかっったことがいまひとつ深みにかけた。まず主人公は自分のための決断で意識的に立身出世の社会に参画しているのである。そもそもジャーナリストへのキャリアを積むために選択したステップという不純な動機もある。メリル・ストリープに言われるまでもなくはじめから生き馬の目を抜くがごとくのしたたかさを持ち合わせた人物なのだ。そうした人物設定があるからこそメリル・ストリープのような仕事の鬼と出会うことや私生活に変化が訪れることのプロットによって人生を見直すことの意味合いに深さが増してくるというものだろう。間違いなくこれは社会からのドロップアウトの物語ではなく再生の物語なのだから。ラストのさわやかなアン・ハサウェイの表情では収まらない映画の着地である。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。