こわいシーンがある。穏やかな「理想郷」の生活のシーンから一転して、兵士の乗った空輸機の中が映し出される。暗い中で押し黙った黒い顔の兵士たち、重苦しい空気。戦争している人の心を現した名シーンといえる。

　もう一つ。別のシーン。脱走兵のピョ少尉が悩んでいる。夢を見ている。昔、橋の爆破を命じられて、任を取るか人命を取るかで大いに悩んだのだ。しかし目が覚めると、目の前にはキョトンとした頭の弱い娘ヨイルの顔、そして、そんな悩みを笑い飛ばすかのように彼女は去っていく･･･。このシーンを大切にしたい。