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[コメント] 酒井家のしあわせ(2006/日)

台詞で魅せていた物語が、喜怒哀楽といった表情や心情で魅せる物語へ変化。劇中でも、日常を描いていたものが、とある事件へと発展する。1つ1つの意味ありげな演出が好きだ。まさにひらがなで「しあわせ」と書きたくなるような、そんなお話
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
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一家の物語でもあり、少年の物語でもある。総じて、鑑賞後には柔らかい印象を抱かせるような「しあわせ」を描いた作品だなぁと。日常生活の些細な幸せにスポットライトを浴びせた物語はいくらでも存在するし、また良作も多い。そんな中で、この作品もそうした枠組みに括られるのかもしれないが、中盤〜終盤での父親が家を出て行く展開や、そして新たに出発する酒井家の人達を見せられると、ちょっと違うように思えてくる。家を出た翌日には事の全容を把握していた母と、騙し通そうと逃げ隠れする父。そして本当に騙されていた息子。

これは歴とした家族再生の物語なのかな、と。涙涙でまとめあげるわけでもなく、「しあわせ」でまとめあげるところが、この作品の魅力なのだろうね。同時進行で描かれていた思春期の淡い恋愛も、家族や自分との葛藤をうまく反映して展開させている。

なかなかどうして、役者が良い。ユースケの息子との距離感、(やっぱり病弱キャラだった)表情は少ない中で存在感抜群。最後の最後では病床にありながら父親の顔になっているのだ。友近は大阪のオバチャンでもなくスナックのママさんでもなく、母親の顔になっており、改めてその芸達者ぶりを知ることに。そして子役達がウマイ。森田少年の将来の活躍には期待したいところ。

(評価:★4)

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