[コメント] 毒薬と老嬢(1944/米)
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こういう優雅な味わいだったり、コメディだったっていうミステリーのジャンルが「あり」な時代で、おそらく監督も出演者もこういう種類の劇があることに対して別段迷いは感じてないように見える。もし誰か一人でも懐疑的であれば、もっとバランスが崩れた仕上がりとなり、こんな一丸となった感じには仕上がらないと思う。「これってとんでもない話だよね」とラジカルな突っ込みを入れるというのは「なし」な時代だったのだ。
アニメ「サザエさん」の第一話では、波平さんが、おそらく水商売の女性からもらったラブレターを、フネさんが見つけ「あなたこれは何ですか!」といってハサミを持っておっかけまわすという、今では考えられないような場面が出てくるが、今見ても1本の作品として破綻している感じはしない。つまらない分析をすれば、その時代はまだ父権が依然と強く、「妻にほうきでメタメタに叩かれたり、ふんじばられたりする夫」っていうのが笑いだったんだろうな、ということだと思う(今じゃあんまりシャレにならないよ…。ところでこのティストって実はサザエさんの原作にはとても忠実。カツオが点数の悪いテストを隠していたのを黙っている見返りに、ワカメがカツオに物品を要求したりとか出てきてかなりドライ)。まあそういうふうにこの作品もこれはこれでありという時代性とつながって成り立っているのだ。
前置きが長くなってしまった。まあ「殺人」というところを殺伐としたものに変換しなければ、テンポのよいコメディとして面白く見られると思う。ボリス・カーロフのネタって当時相当面白かったのかな? ちょっとくどいかも。ケーリー・グラントの「あっそう、なになにね。。。うんうん。…ええっ!なになにだって!! △△×#!!!」みたいな芝居がなんべんも繰り返されるのは面白かった。冒頭で大リーグの乱闘シーンが出てきて、その頃隣の街区ではロマンスが芽生えていた…なんて始まりかたとか、うまい!
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