[コメント] 不都合な真実(2006/米)
米国民向けのローカル映画。賢明さを自認し、主電源を切れやらマイ箸を使えと繊細かつ近視眼的エコに励む我が日本国民に新味なし。ただ「すべて倫理の問題だ!」は正しい。本来、倫理は政治、経済、科学の上に位置するが、その関係は欲望に幻惑され簡単に逆転する。
倫理の実践とは、人間のいかなる営みにも優先されるべき人が人であることの実証である。個人の倫理よって形成された社会のもとで、政治は市民の利益と幸福のために施され、経済や科学はその規範のなかで運用される。そんな当たりまえのことが賢明なはずの日本人にもなかな回復できない。
コツコツと努力することを否定はしない。だが「塵も積もれば山となる」方式で実現するのは所詮は塵の山でしかなく、ひとたび欲望の嵐にさらされれると、ひとたまりもなく吹き飛んでしまうのだ。必要なのは微細な欲を封印することではなく、倫理を実践するための半強制的な覚醒。
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