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[コメント] わたしを深く埋めて(1963/日)

かなり面白い話なんだけど、少し詰め込みすぎ。
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







田宮二郎演ずる中部京介という男は、"Disaster"という単語を知らなかったり、部屋のドアをいつも開けっぱなしている危機管理意識の低さに、ちょっと弁護士に見えない。

旅行から帰ってきたら見知らぬ女がいたのでタクシーで追い返したらカメラマン、次にヤクザが来て・・・って具合にどう考えてもありえない事態が起きているのに「とんだ災難だな。はっはっは」(←あくまでイメージ。)という感じでさわやかに受け流すのが、度胸あるというより鈍感っぽくて笑える。

後で整理すると結構すっきりしたプロットで、面白い話なんだけど、劇中では何でもかんでも会話で処理するから詰め込みすぎの印象が強い。おそらく市川崑あたりなら回想シーンをうまく挿入して観客にわかりやすく説明してくれるんだろうね。

個人的には徳丸正三郎役も、松本恵子役も車に乗ってるシーンでしか映らないから、人物がイメージできないまま話がどんどん進んでしまって、ついて行くのに精一杯だった。江波杏子演ずる徳丸めぐみって娘がいたけど、「めぐみ」と聞いて「恵」を連想してしまい、松本恵子と混同してしまったりね。

特にこの映画で一番重要なクライマックス。若尾文子が毒殺の真相を告白するシーンで、「これこれこういうわけだったの。」「だから抱いて」と言うのが無茶すぎる。男はそんなに器用に抱けませんって。立ち尽くす田宮に抱きつくも、何もしない田宮を見て「5秒で納得」って感じで青酸カリを飲みに二階へ行くのも性急すぎる。完全に若尾の一人舞台っつうか一人相撲。なんであんたはそんなに急ぐねん!と突っ込みたくなった。だから「あなたは弱かった」っていう田宮のセリフもなんだかとってつけたようで空しく響くだけなのだ。

ところで、田宮が自宅アパートに戻ると下着姿の女が足を伸ばして見せつけるショットが、『卒業』でアン・バンクロフトがダスティン・ホフマンを誘惑する構図にそっくりなんだけど、マイク・ニコルズがパクった?なわけないか。

(評価:★3)

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