コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] デジャヴ(2006/米)

トニー・スコットの映画はいつも中途半端だ。
ナム太郎

彼の作る映画はプロット的にはやたら面白いものが多く、純粋に観たいと思い、気がつけばつい観てしまっているというものも少なくない。がしかし、残念ながら彼はリドリーとは違って物語を自由自在に操る繊細さというものを持ち合わせていない不器用な映画監督で、正直鑑賞後に何度「う〜ん、惜しい!」と唸ったことか。そう、彼の映画はいつも中途半端なのだ。

そういう意味ではこの『デジャヴ』も、いつもながらのトニー・スコット節の中途半端の域を出るものではなく(思えばタイムパラドックスもカーチェイスも爆破シーンも主演女優の魅力も、しいてはタイトルに至るまで、全てが中途半端だ)、突っ込もうと思えばどこからでも突っ込めるまさに四次元突っ込みムービーとでも言うべき怪作なのだが、ただこの怪作がいつもの彼の映画と違うのは、その中途半端さが1本の映画の中に程よく中和され、究極の中途半端映画としてワンランク上のレベルで楽しめる快作にまで昇華されているからである。

つまり、平たく言えばこの映画は、理屈を言いだせばキリがないけれども、理屈抜きで楽しむ分には素直に面白かったと言える映画だということで、つまるところ私はそんな中途半端なトニー・スコットの映画を憎みきれないろくでなし野郎の映画として愛さずにはいられないのである。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ゆーこ and One thing[*] デナ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。