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[コメント] 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007/日)

言ってしまえば昔からよくある話、邦画伝統の浪花節(© HILO氏)である。しかし、心の中に“オカン”がいる人間にとっては、この映画をそれだけのものとして切り捨てることなどできはしないのである。[ユナイテッド・シネマ豊洲5/SRD]
Yasu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







評論家の、誰だったかは忘れてしまったが、とにかく誰かがこんなことを書いていたのを読んだ記憶がある。

最近までの日本では、出世して偉くなるためには学歴が必要であった。そこで、出世することを求められた子どもは東京(とは限らないが、都会)に出て学問を修める。そのために親は犠牲になって、田舎で汗水たらして働きながら子どもの勉学を支える。犠牲になるとは言っても、上手くいって子どもが出世してくれれば、周囲に自慢できようし、老後は世話になることもできるわけだから、親としてもそれで文句はなかったのだ。そんな親子の姿を描いた邦画が、例えば小津安二郎の『一人息子』である。

一人息子』から数十年経ったこの話でも、「子の学問のために親が犠牲になる」というプロットは生きている。美大に進んだ主人公が留年することになってもオカンは面倒を見続け、何とか卒業させた。主人公が就職せずにブラブラしていても泰然自若としていたのは、きっと「これに全部つぎ込んだ」という卒業証書の力を信じていたからだろう。大学を出ているから、何とかなるはずだ、と。

その点で、この話は昔からよくある話の域を出てはいない。しかしそれでも、実際に「何とかなった」息子が、雑誌にイラストを載せ、本を出版し、ラジオにも出演しているところを見るのは、日本中のオカンにとっての夢であるし、また日本中の息子にとっても、それなりに成功を収めた様子をオカンに見せることは人生の目標の一つなのである。

それを提示しているこの作品は、さらに自分自身のことも振り返らせてくれるのだ。まだ間に合ううちに、自分も頑張らなければ、と…。

しかし、樹木希林の役の若い頃を内田也哉子が演じるなんて…そのキャスティングは反則だよ(笑)

(評価:★4)

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