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[コメント] ブラッド・ダイヤモンド(2006/米)

もう既に何人もの人が書いてることであるけれど、多くの人々が知らない遠い国での社会問題を前面に押し出した娯楽作としては及第点の出来。個人的にはラストがいただけない。
JKF

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まずディカプリオに関して。ここ数年タッグを組んでいるマーティン・スコセッシとの作品でかなり演技ができるヤツだと知っていたので、かなり安心して観ることができた。ただ、ジェニファー・コネリーに対して中盤で心情吐露をしてしまったことで「死亡フラグ」が立ってしまった。あそこのシーンはもうちょっと控え目なセリフで先を読めない程度に抑えてほしかった。

次に作品全体について。子供が銃を持って人を撃ち殺すシーンでは『シティ・オブ・ゴッド』を思い出した。永遠の輝きを放つというダイヤモンドをめぐり、多くの血が流れていることをこの映画で初めて知った。そこにショックを受け、その事実をこれから心の隅に留めてもらえるなら、この映画の目的は大いに達成できたといえるんだろう。この事実を知ったことによって、アフリカの紛争やダイヤモンド購入に際して何らかのアクションを起こす人がいる可能性だってありえるといえばありえるだろうし。

ただ、ディカプリオや、あの黒人家族の物語をまとまりをもって帰着させ、革命軍を空爆で全部片付けたかのように、ジェニファー・コネリーの記事で非合法ダイヤ問題が一気に暴かれたかのように見せていて、映画としてはスッキリ終わっている。けれどエンド・クレジットに入る前に示されているとおり、現在でも20万の少年兵が存在しているし、ブラッド・ダイヤモンドは流通しているかもしれない。人々は貧困にあえぎ、国にあるエネルギー資源ゆえに先進国が絡んだ戦争もある。だからこそ、テロップなんかで片づけずに、まだ続いている問題があること、この映画で描いた事実がアフリカで起きている紛争の氷山の一角にすぎないのだということを映像で示してほしかった。あそこまでスッキリ終わらせてしまうと余韻があまり残らず、「面白い映画だったな、うん」になってしまう。

エドワード・ズウィック、これは前作『ラスト・サムライ』とは違うんだぞ。

(評価:★4)

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