[コメント] あるスキャンダルの覚え書き(2006/英)
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作はとても褒められるべき物語ではない。ただし、すごい。
1.演技合戦 老年の同性愛癖のある女教師を演じたジュディ・デンチ。15歳の生徒と関係を持つ、女教師を演じたケイト・ブランシェット。アカデミー賞にノミネートされた二人だが、とにかく閉口するほど凄まじい演技を披露していた。特にジュディ・デンチに関しては、近年の映画界において稀に見ることの出来ない特筆すべき演技であり、まるでその演技は悪夢を見るかのように、人間の欲望を繊細に、時には大胆に体現していた。演技でここまでの衝撃を受けたのは、『イン・ザ・ベッドルーム』のシシー・スペイセク以来かもしれない。この手のタイプの演技は、とにかく大好き。ブランシェットも近年では珍しく「目」の演技が出来る女優である。大健闘していたが、デイムの迫力が凄まじすぎて、ブランシェットが霞んでしまっていたかもしれない。また、ビル・ナイも多少オーバーアクティングではあったものの、いい味出してて、ちょうど良かった。演技だけでも、一見の価値あり。
2.フィリップ・グラスの音楽 毎度のごとく素晴らしい音楽である。多少本作においては、ここで使うかなぁという音楽が耳障りな点があったものの、スコア自体は素晴らしい。観客の心を掴み、劇中に引きずり込ませるスコアであった。
3.リチャード・エアーの演出 本作を90分に纏め上げたのは大正解。仮に90分以上の作品であったら、見苦しくなって、ここまでの高評価はつけられなかった。コンパクトにまとめる事により、撮り方によっては汚い印象を与えかねない「欲望」というテーマを、繊細に撮ることに成功している。
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