[コメント] ハリウッドランド(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
リーブズが、テレビで観たスーパーマンのイメージを鵜呑みにする子供たち、という壁に突き当たる事を、拳銃と煙草、二つの小道具を用いて描いている事。白黒テレビで放送されるスーパーマンの衣装が、灰色である事。西部劇にスーパーマンが登場するという、場違いで安っぽい設定のショーに出演させられるという事。その舞台裏でリーブズが、酒を口にし、下ネタ交じりの愚痴を漏らす事。スーパーマンの飛行シーンの撮影中に事故って落っこちたリーブズが、ふざけて「アカデミー協会の皆さま…」などと、アカデミー賞のスピーチを真似してみせる事。出演した『地上より永遠に』の試写会で、真面目に演じているリーブズの出演シーンが失笑を買ってしまう事。こうした、リーブズを題材にしているからこそ可能な場面があるにも関らず、映画全体の軸がそこからズレてしまっているのが致命的。
スーパーマン役者として、普段でさえ模範的人物を演じさせられる辛さ。誰もが知るヒーローである事と、全国的な晒しものにされる事との同一性。スーパーマン像の肥大と反比例して、映画俳優としての人生が圧殺されていく事。こうした、描くべき魅力的な主題があるにも関らず、それらは物語の彩りとして添えられる程度の扱いしか受けていない。「真相は藪の中」式のミステリーに、他人の私生活を飯の種にする探偵自身の私生活の破綻を絡ませ、半ばそちらの方が映画の軸にしてしまっているせいで、この作品ならではの主題性が薄れてしまったのが残念。
これではリーブズも浮かばれまい。もっとマシな脚本家と監督が、彼の生涯に目を向けてくれる事を望む。
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