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[コメント] キムチを売る女(2005/中国=韓国)

ものすごい映画を見てしまった。まず、北欧のドグマ映画のように音楽は一切ない。1カット1シーンの連続。全篇緊張感の漂う気を抜けない映画になっている。
セント

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ファーストシーン、リュ・ヨンフィのきついまなざしが工場跡のような建物のブルーの窓枠の向こうから見える。この映画は構図が縦横のアウトラインが強く色彩も鮮やかで、まさに全篇絵画のようだ。

その作家風孤高の映像に僕は震える。映像でどんどん押し通していくこんな映画が好きなんだ。最近とんとこういう作家映画を見なかったので僕の内的映画高揚感が続く。

作品の内容は、朝鮮族という民族の中国にいながら中国人でなく、もちろん朝鮮からも朝鮮人でなくなっているぎりぎりのエトランゼ的な心情と民族的な誇りを持つ主人公を通して、人間不信・絶望・震えるばかりの憎悪をトーンを落とした映像に描き尽くす。人間って本当に残酷だなあ。

韓国でこんなスケールの大きい映画作家が誕生していることは驚いた。韓国映画という枠を超え、世界有数の映画作家に匹敵する作品だと思う。嬉しい限りだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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