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[コメント] アヒルと鴨のコインロッカー(2006/日)

この道は、いつか来た道。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







自分が、この主人公たちと同い年のころは、人生で一番多くの本数の映画を観ていたころで、

お金がないので、二番館の三本立てや、オールナイトの四本立てにずいぶんと助けられていた。

つぎはぎだらけでとびとびの、白い雨が降るフィルムで、「スケアクロウ」や、「タクシードライバー」や、「サンダーボルト」を何度も観た。

登場人物たちはひざを抱え、ふて腐れたような微笑みと、うつろなまなざしをして、心を壊したり、人を傷つけたり、闇雲にどこかを襲撃したり、車の助手席に腰かけたまま絶命したり、

そして行きずりにつるみあって、互いにひっそりと心を通わせあったりしていた。

この作品は、今の自分には正直粗も感じる。こそばゆいところもある。でも、人には、もうとうに「子供」ではなく、そして「大人」になる直前、こころの中に、こういう自転車の補助輪のような世界が必要な時期があるのだ、と感じる。

19才の自分を思い出した。

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そしてなによりも、この映画が映画としての価値があるところは、「オリエント急行殺人事件」のように(ネタバレじゃないですよね?)、

「かつて行われたこと」が「別キャスト」によって観客に一度提示されるところだと思う。

「犯人のミスディレクション」と、「真相」が、きっちりと映像で表現されるところは、[映画]ならではの手法で、その演出をきっちりと引っ張っているところを評価します。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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