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[コメント] レミーのおいしいレストラン(2007/米)

映画を観終わると、原題“Ratatouille”は、すごく良いタイトルに思える。何気ない料理の名前だけど、作品を通して描いてたことがそこには込められている気がするから。(2007.11.25.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ジョン・ラセターが撮ったピクサーの前作『カーズ』は完全に車しか登場しない世界が舞台。だが、そんなことは気にもさせない、人間ドラマの秀作だった。ブラッド・バードが撮った本作も主人公はネズミだが、そんなことは気にもさせないくらい、しっかりドラマとして描かれていた。オリジナリティ溢れる舞台設定をしても、しっかり万人の心に訴えかけるドラマを作れるピクサーはやはり信頼できる。

この映画の中で描かれていることは、すごく素直なこと。料理は誰が作るかは関係なく、“愛情”が込められているかどうか。ネズミは人間から嫌われるという偏見を打ち破る“勇気”があるかどうか。どこで何をしていてもサポートをしてあげること、それが“家族”ではないか。すごく素直で当たり前のメッセージが込められているのだけど、レミーにも、リングイネにもしっかりと葛藤があり、エピソードが響いてくるのである。

あのラタトゥーユの中に込められた味って、本当にいろいろなものが詰まっている気がする。批評家の反応を見ると懐かしさも詰まっているようだし、盛り付けなどを観るとレミーのシェフとしてのテクニックも詰まっているはず。先に述べたような“愛情”“勇気”“家族愛”なども当然詰まっているだろう。物語のすべてを、あの一皿に集約させたのは見事。原題“Ratatouille”は巧いタイトルだ。これは観ないとわからないことだから、日本では変えられちゃったのだろうが…。

細かいところのこだわりもさすがです。ワインのラベルまでしっかり再現しているのには、ワイン好きとしてはニヤリとしてしまう。ブラッド・バードは『Mr.インクレディブル』のときも細かいユーモアがとにかく冴えていたが、今回も前作には及ばないけれど、細かなユーモアは生かされていて良かった。

(評価:★4)

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