[コメント] オーシャンズ13(2007/米)
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シリーズとしては既に三作目を数える本シリーズ。基本的に登場人物は変わっていないのだが、かつて『オーシャンズ11』(2001)から6年が経過。その間クルーニーのみならずデイモンやチードルがブレイク。その結果本作はもの凄い豪華なメンバーになってしまった。しかもその敵役としてシリーズを通してのアンディ=ガルシアに続き、アル=パチーノまで登場…『ゴッド・ファーザー』(1972)ファンだったらこのコンビってだけでも楽しめるし、過不足無しにこの豪華メンバーが登場するので、それだけでも楽しい。シリーズが続いたというその事だけでいつの間にやら『グランド・ホテル』(1932)みたいなものになってきた感じ。
それに個人的には今ひとつだった『オーシャンズ12』(2004)と較べると、純粋にトリックの方に重点が置かれているのも嬉しい。出来としてはかなり面白く仕上がってる。
本作のユニークな点は最初から現れている。そもそもこの手の冒険ものは、動機、過程、結果の三つ(“序破急”と言っても良いかな?)が過不足なく取り込まれて一個の物語になる。それで本作だが、シリーズを通して概して過程をとても大切にしているのだが、それを極端に推し進めた物語展開となっているのが特徴。ここでの動機はなんとほんの数分で終わってしまった。しかも回想形式で、「これこれこういう事があって、現在は“過程”の真っ最中である」と言うことで冒頭から入ってくる。動機にこれだけ重点を置かないのはとても珍しい。
その分、過程をかなりねっちりと描いている。冒頭から既に過程の半ばであるので、カジノ乗っ取り劇はポンポンと軽快に進捗。その中でいくつかのトラブルはあるものの、積み木を重ねていくように、目的に向けて疾走していく。その小気味よさが本作の醍醐味であろう。結果に至るまでの過程が中心となるだけに、この部分をいかに飽かせないか、それを重点的に作ってくれたお陰だ。小気味よく積み木が重なっていく過程を楽しめばいい。
ただ一方で、どれだけ演出を良くしようとも、トピックを当てるキャラが多すぎたのは事実。オーシャンの仲間達全員+ガルシア&パチーノを見せようと言うのだからちょっと無理がある。次から次にザッピングしていく物語に付いていくのはほんと大変。人数が半分でも充分だったのに。
それに『オーシャンズ11』(2001)の時と違って、最初から分かってる結論に向かって行くだけだから、「あっ」という驚きもなし。まあ、これはこれで普通になったというべきなのかも知れないけど。
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