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[コメント] 22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語(2006/日)

巧みな編集で最後まで見せるが、とにかく暗い。暗いと言えば勿論原案でありタイトルともなった歌からして暗いのだが、再三登場する彼岸花にしても、筧利夫のモノローグにしても、ここまで暗い雰囲気で統一されるとノスタルジックな思いも弾けない。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大変申し訳ない言い方をすると、近年の大林映画は、その舞台となる地方がもつロケーションの素晴らしさを生かしきれていないように思う。今回の大分の各舞台にしても、もっと彼の映画らしい舞台作りができたはずなのにと思ってしまった。まぁのっけからこんな感想を抱くこと自体、自分も尾道三部作のイメージを引きずり過ぎているのかなと反省もしているのだが…。

しかし、それにしても、最後の抱擁のシーンなどは個人的にはどうなのかと思ってしまった。ああいうのを何の恥じらいもなく見せてしまうところが大林映画なのだと言われればそれまでなのだが、少なくとも自分は最後の最後にあんなショットは見たくなかった。

音楽にしてもそうだ。この映画に関しては、もしかしたら音楽が流れていない場面はなかったのではないかと思ってしまうし、いくら何でもこれはやり過ぎだなと思ってしまった。

加えて、またもや斜めの構図である。演出に凝るのはよいが、前作『転校生』同様、ここまで斜めの構図にこだわりを持たれると、何か意味があってのことなのかと思ってしまうのだが、どうやらそういうことでもなさそうだし、正直やり過ぎの感しか残らない。

このように、近年の彼の作品には厳しい意見ばかりを述べている私だが、それでも鈴木聖奈中村美玲といった若い女優の頑張りを引き出し、三浦友和長門裕之といったベテラン男優にもさすがと思わせる場面を用意するところなどはやはり大林監督だと安心するところもあり、その辺りに関してはやはり変わらずにいて下さい、そのままでと言わざるを得ないというのが今の正直な思いなのである。

(評価:★3)

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