[コメント] 鬼軍曹ザック(1950/米)
本作も低予算がゆえの撮影現場での創意のあとが実に良くわかる。例えば、冒頭の戦場の場面でもエスタブリッシング・ショット(空間全体を引いて見せるカット)が使えないのだが、しかしそれを逆手にとり、考え抜かれた効果的なアップ画面で実に強い画を提示して見せてくれている。
あるいは、唐突に登場し度肝を抜かずにはおかない大きな仏像のある装置。きっと安手な作りだと思うのだが、見事にインパクトのある使い方がされており、観客は物語を忘れてもこの仏像のことを一生忘れないであろう。また、朝鮮人の孤児ショート・ラウンドをはじめ兵士達のキャラクタリゼーションも素晴らしい。黒人の衛生兵、ハゲで育毛剤をつける白人兵士。真面目な日系兵士らの描き分け。そして何といってもザックが北朝鮮人捕虜に対して行う振る舞いは全く常軌を逸している。人道主義かつ日和見主義の観点から云えば、こんなことを描いて許されるのか、と思える程の徹底した演出だ。やはりサム・フラーはとことん厳しい。
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