[コメント] 題名のない子守唄(2006/伊)
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この映画がメインに置きたかった事は、何だったのでしょうか。ミステリーが解けていくことを目的としているならば、かなり良いのかもしれません。主人公が、子供の実の母親らしいことは、直ぐに感じます。一緒に暮らしているのは、育ての母親なのでしょう。父親の再婚か何かなのだろうか、じゃあ父親のほうは、なぜ主人公を見て、子供の母親だと気づかないのだろう。ああ、父親も実父ではなく、子供は養子なのか、、、と順当に謎解きがすすみます。それだけでも、面白いかもしれません。
でも、この重厚な作りから見るに、観客に、ただ謎解きをさせたいわけでないような気がするし、謎解きだけでは、後には何も残りません。 やはり、ドラマを描きたかったのでしょう。ということになると、この映画はあまり上手くない。
本作の見せ場になるエピソードというと、不幸の原因スキンヘッドのおじさんを、主人公がついに殺すシーンかと思います。しかし、ここをあまり描いていません。時間的にも一瞬で終わります。殺人の後だというのに、主人公は変化にも乏しい。また、産まされ取り上げられた実の子供に対しては、可愛いと思い、将来を心配してもいます。が、普通の親子関係でない以上、それほど単純にいくとも思えません。自分の生い立ちと比べて苛立つことも当然出てくるだろうし、たくさんの思いがあるはずのところです。実子への純粋な愛情と支援の気持ちだけで終えてしまうのは、この厳しい状況の主人公を描いたことには、ならないかと思います。
何も自分好みの映画が見たいわけではないですけども、映像やストーリーの特異さで、濁している感じがして、ドラマが不十分と思いました。
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