[コメント] ブラック・スネーク・モーン(2006/米)
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意外といってはあれだけれど、破綻した設定が上手くまとまって、とても温かい気持ちになれる人間ドラマだった。孤独なおっちゃんとセックス依存症の女との奇妙な交流を描いた作品なんだろうなぁというイメージとのギャップに戸惑ったものの、終わってみればちょっとした感動作品だったのである…。
まさに、孤独だったのはリッチ演じるレイのほうで、本当に寄りかかれる人間が誰も存在しなかった。ロニーは運命の人だけれど、見る限り、全力で心を許してはいなかっただろう。だからこそフラッシュバックを繰り返し、依存症へと陥っていくしかなかった。「運命の人」、この場合はつまり本心から寄り掛かれる人間のことだが、時によって、そういう相手を見つけるのに時間は掛からないのかもしれない。まさに偶然が、そういう人間を引き寄せてくれることもあるのだなと、ラザラスとレイの出会いを見てそう思った。
困ったもので、ロニーもまた精神的に不安定で大人になれない人間。ある意味で未熟だった2人の付き合いは容易に想像できるもの。ところが、彼にもまた岐路は訪れる。それはレイの変化でもあるし、彼女への思い込みをリセットさせたことでもあるし…。しかしながら、それでも彼はしばらくは弱いままの人間なんだろう。それが、この映画のエンディングであり、2人の新しい生活のスタートするはずのシーンだ。式を挙げた後の車内での出来事を見てしまうと、2人の将来は非常に危ういと思わざるを得ない。ロニーがもっと改心しない限り、レイばかりが逞しくなって、2人の関係はおそらく崩壊する。そんな、微妙な演出においてもこの映画は優れていた。
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