実際、けっこう楽しめたんですよね。この映画。戦争やテロが、人が人であることと切り離せないのではという問題提起も悪くないし。映画館出るときはまあまあ満足してたんです。

でもちょっと時間がたって思い返してみると、いろいろと突っ込みどころが出てきて後引きが悪いというか（笑）

SF部分の設定があまりにも荒唐無稽で、ご都合主義。「盗まれた街」からの引用部分って、眠るとやばい、ってとこだけじゃないかと。 侵略者の設定を今風にしてみたのだろうが、寝ているとウィルスが活動を始めるとか、ウィルス自体が知的生命体であるとか、なぜかある病気にかかったものだけが免疫があるとか（しかも免疫の意味が全然違う）、思わず失笑。ウィルスだから、決め手は「あれ」でしょうということで、やはり嫌な予感はそのまんま。 原作の苦味がすっかり失われ、ハリウッド的予定調和、カタルシスのための無茶な設定が映画を安っぽくしている。

それとカーチェイスは元々なかったものを、試写で不評だったため急遽他の監督に頼んで撮り足したとの噂。ウォシャウスキー一味がかんだらしいということで納得。。思いっきりコミックの世界。どうせ入れるならせめて硬派なカーチェイス（そんなのあるのか？笑）のほうがよかったよなぁ。

この映画の問題提起は心に響く。だからこそ苦くても後を引く映画であって欲しかった。