[コメント] オリヲン座からの招待状(2007/日)
宮沢りえが木々の間を自転車で走りぬけるシーンを彩った上原ひろみのピアノソロと、本物の色合いを有する昭和の風景をカメラに収めた柳田裕男の撮影センスは素晴らしい。しかし全体を見れば、これだけ内容空疎な作品もまたとない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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全体的に短編小説を押し広げられるだけ押し広げたイメージが先にたつ。
主人公達の水先案内人を勤めるはずの田口・樋口夫妻が、子供の頃、ほんの短い間彼らと接触を持ったのみだった肩透かしなどはまだいい。宇崎の死後、彼のオリヲン座を継ぐ加瀬と宇崎未亡人である宮沢に火遊びの噂が立ったからといって、昭和も三十年代にして大都会・京都にあんな村八分現象が起こるものだろうか。まして彼らは時代の花形であった映画屋であり、客足がそんなことぐらいで壊滅的に落ちるとは考えづらい。
それは許せても、その後数十年の間ほとんど客足が遠のき、二人の子供の遊び場でしかなかったオリヲン座が潰れなかったのは奇跡としか考えられない。そのあたりの説明がすっぽり抜け落ちてしまっている以上、泣かせを重ねてもシラけるだけである。
宮沢りえの老後がいにしえのアイドル・中原ひとみだというのには恐れ入った。マジで歳をとる恐ろしさを見せ付けられた感じだ。彼女と原田芳雄のディープキスとペッティングの醜悪さは、とても言葉に出来たものではなかった。ここだけでも恐ろしい映画である。
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