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[コメント] ボーン・アルティメイタム(2007/米)

忙しないようで落ち着いているアクション演出。あれだけ画面が動くのに、ジェイソン・ボーンに近い視点で見せてくれるのだから、緊迫感が生まれないはずがない!(2007.11.16.)
Keita

**ネタバレ注意**
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もともと映画館では前方の席に座るのが好きな僕だが、この映画の場合だとそれはある意味では賭けだなと思っていた。手持ちカメラによって緊張感を生んでいくために、下手したら酔うだろう、と。確かに、冒頭はなかなか目が慣れずに酔いかけたが、慣れてくるにつれ迫力を存分に感じることが出来た。

このシリーズのアクション映画の演出は、ただ闇雲にカメラを振り回しているわけではない。豪快に道をつき進むカーチェイスにしても、人ごみ渦巻く公共スポットでの追跡劇にしても、それぞれのカットは短いわりに、演出には落ち着きが感じられる。画面の中でどういう状況にジェイソン・ボーンがいるのか、これが常にわかりやすい状態にある。あれだけ動きがあるのに、わかりやすい。大人の鑑賞に耐えうるアクション映画、さすがである。

本作でもロンドンのウォータールー駅での追跡劇は特に見事だった。1秒たりとも緊迫感が途切れない。ボーンが監視カメラの位置を計算して、逃げ回る記者に指示を出している様子、これをあの人ごみの中でもきっちりと理解させてくれる。工作員としてスペシャリストであるボーンは、どの状況でも類稀なる判断力と知的さを披露してきたわけだが、観客もそれだけ高度なことを行うボーンになったような気持ちでシーンを見られてしまう。そりゃ臨場感もアップしていく。

ロンドン、マドリッド、タンジール、ニューヨークと、世界を飛び回っての追跡劇はシリーズ定番であり、今回もそれらを楽しむことができたが、中盤までに比べるとニューヨークでのシーンはやや勢いが落ちた気がする。金庫を破るにしても、研究所の暗号にしても、やや安易に感じられる部分があったからかもしれない。

ストーリーに関してはあっという間に語れることだが、それを見事なアクションシーンによって肉付けしてきたシリーズだけに、そのアクションが終盤に来てやや勢いを失ったことが少し残念ではあった。

でも、ラストシーンはジュリア・スタイルズの表情同様、ニヤリとしてしまいますね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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