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[コメント] ロンリーハート(2006/米=独)

孤独をあたかもプレシャスなものとして描く感覚に違和感。
G31

 孤独な女性を騙して金品を奪うという知能系?の犯罪が、徐々に変節、連続殺人という猟奇的な惨劇へ陥る。実在の?クライム・カップルを描くにあたり、「孤独」という切り口が相応しいと考えたのだろう。そのセンス自体は悪くない。刑事であろうが、犯罪者であろうが、被害者であろうが、人は皆孤独を抱えている。だが、現実には孤独に気づかない振りして(なんとか)やり過ごしている人も多いはずなのに、あたかもプレシャスなものとして描いているかのような違和感を覚えた。

 私には、孤独を売りにした映画が商売になるとは思えない。しかし、アクションやロマンスやファンタジーのように、孤独というジャンルを好む客層があって、その層を狙って作られた作品なのか?という疑念を抱かされたのは確かだ。どうしても描きたいテーマだったとは思えない。

 例えば、この映画は孤独孤独と口にするし、孤独感が演技を超えて顔の皺にこびりついたような役者を多く起用している(代表者はローラ・ダーン) が、実際の撮影現場は和気あいあいとしていたのではないか? 小津安二郎の撮影現場は通夜のようにシーンとしていたと聞くが、少なくとも小津はそんなエピソードももっともと思わせる作品を残している、とは言える。

 ジョン・トラヴォルタ演じる刑事が、前半部で見せた独り善がりな思い上がりに感じた退屈さ。および上記違和感の残った作品。

65/100(08/04/19見)

(評価:★2)

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