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[コメント] 無頼漢(1970/日)

ああ、これを「天井桟敷」の舞台として観たかった!岡崎宏三のカメラと篠田組照明の白色蛍光灯的退屈は何事か。寺山修司ならではの背徳感溢れる台詞回しと展開は、篠田正浩老中の清さに漂白されてしまったか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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仲代演じる主人公が何度も親殺しを繰り返し、気丈な母親はそのたびに戻って来、息子を奪われた小沢昭一は攫った子に「人攫い」と罵られた挙句その子を手にかけ、坊主どもは死の匂いに取り付かれ、そして改革に弾き出されたあぶれ者どもは老中水野忠邦に向け一揆に立ち上がる。いかにも寺山エッセンスの溢れかえる物語には血の滾りを抑えられない。

そして、中村敦夫の大名の狂態、丹波哲郎の怪僧ぶり、そして老中芥川比呂志の恐るべき盲信は見事の一語に尽きる。

だからこそ…篠田演出はもう少し頑張って欲しかった。怪物のごとく民草を照らし出す月の無慈悲な照射のみならず、昼をもTVドラマの平坦色から解き放ってもらいたかった自分なのである。

(評価:★3)

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