コミックの世界を実写にするのは簡単じゃないと思う。たとえ同じ台詞やストーリーであってもメタレベルが違うのだから、どうしても不備がでる。脚本は前二作のほうがましだったとしても映像作品に共通した欠陥は、原作そのものの世界観を忠実に再現しようとしたことのように思う。

　たとえば高嶋政伸扮する敵方のケロイドはなんなのか。まったく彼のバックボーンが示されることなく、ただ異様な姿だけが映される。これがコミックならば、あるいは許されよう。しかし、実写の映像作品ならば求められるリアリティーのレベルが違ってくる。

　となると、それなりに役者も重要だ。悠長に舞台的な演技をされても困る。そういう意味では冒頭にでてきた瀬戸朝香、また、正名僕蔵は落ち着きはらった気の利いた演技をしていたといえるだろう。