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[コメント] 奈緒子(2007/日)

藤本七海演じる事件に遭遇した子供時代の奈緒子の狼狽ぶりが実にリアルで、後の笑顔無き奈緒子(上野)の心の凍結に説得力を与えている。唯一、彼女が現実との係わりを感じとる「疾走」を捉えた猪本雅三撮影のランニングシーンのリアルさもまた見事。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







猪本雅三キャメラマンの捉えたランニングシーンは白眉でした。今まで、観た何本かの実写ランニングシーンのなかでも屈指のリアルさでした。この映画の肝は、船から目撃した海岸の少年の疾走、数年後に競技場で再び目の当たりにする少年の激走、そして「つながり」を模索し悩みながらも無心に走り続ける駅伝チームの心の迷走です。そのランニングシーンのリアルな具現化こそが、すなわちリアルな肉体の運動が生む感動が、止まった時間から開放され、再び現実の時間を歩み始める少女の笑顔に説得力を与えている最大の要因でしょう。

サイドカーに犬』のときにも感じたのですが、猪本雅三という人の、過剰さを廃して、あるいは感じさせずに事実を爽やかに切り取っていくテクニックは見事で、この作品も撮影の手腕におうところがかなり大きいと感じました。

で、関係ありませんが陸上部OB的には三浦春馬君より諫早学院エース黒田の網野剛君の方が、正しい長距離ランナーのランニングフォームなのでありました。・・・やっぱり雑念が払えてないのです。

(評価:★3)

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