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[コメント] ダージリン急行(2007/米)

最も長い旅路は、自分の心に向かう旅路である

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







・・・とは、ある有名な名言なのだが、本作はまさに、そんな旅についての映画である。

ちょっとおかしな男3兄弟が繰り広げる、過去から自由になるための心の旅。ただし、ウェス・アンダーソンは「心」という抽象性に逃げず、あくまでも映画という「活劇」において旅に挑んでいて、そこがこの映画の面白いところだ。

「ロード・ムービー」というより「珍道中」と言った方がぴったりくる、愉快で、軽快で、不幸と幸福が交錯する急行列車と途中下車の旅。その旅路の終着駅ともいえる場所で、彼ら=子供らを「解放」する母の言葉が胸を打つ。

「でも過去は戻らない。もう済んだことよ」

「もっと自分を自由に表現したら?言葉を使わずに」

「やってみる?」

今、¨泣きながら笑えて、笑いながら泣ける映画¨を撮らせたら、ウェス・アンダーソンの右に出る者はいないと思う。まるでジム・ジャームッシュの『ミステリー・トレイン』のような雰囲気も匂わせる、静かなる良作。

(評価:★4)

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