[コメント] ペネロピ(2006/英)
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ヒロインは先祖の悪行のせいで先天的に「醜い」容貌に生まれている(という設定である)。しかし、自分が見る限りちょっと大きく平たい鼻のクリスティーナ・リッチはどう見ても可愛らしく、愛嬌たっぷりである。ここでは醜いという設定なのだから私情を挟むな、といえるヒトがいないのは、実際屋敷の外に飛び出し、自らの鼻を外界に明らかにしたヒロインは忽ち人気者になってしまうからだ。最初に見合いを受け、「化け物だ」と逃げ出した男のほうが異常に見えてしまうのだから皮肉なものだ。
だが、問題はそうした罪作りな「鼻」をヒロインに対する王子様の愛ではなく、自らのヒトとしてのありようで肯定した結果呪いから解き放っているところだ。美醜の問題は多分に見るものを取り巻く社会や文化によって決定されるものであり、増してその顔を持つ本人すら「醜い」と規定されなければ気にせずに生きてゆけるものなのだ。ヒロインの親たちを振り切っての外界探索はいずれあるべきものだし、パブなどで友人を作ってゆくのも顔とは関係ない、彼女の天賦の人懐っこさから来ているものだ。ともすれば、もともと人気者になる才能を眠らせていたヒロインが、家庭の格ゆえに彼女に求婚できないジェームズ・マカヴォイを救ってやる筋立てに見えてしまう。ならば隔世の感のある、実に現代の若者らしい映画だ。
言ってみれば、煮え切らない恋人にいらだった女の子が、彼氏を引っ張ってつれてゆくためのデートムービーといった位置づけの作品だろうか。ライトで一見オーソドックスな物語ではあるが、若い女の子の共感は充分に得られるだろう、とは思われる。
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